抑うつ状態・
うつ病・
適応障害

抑うつ状態・うつ病・適応障害

抑うつ状態は、ストレスや身体的な状態など、さまざまな原因で気分が落ち込み、生きるエネルギーが乏しくなって、その結果、活動性が低下し、身体のさまざまなところに不調があらわれる状態です。一過性の抑うつ状態は健康な人にも起こりうる状態です。またさまざまな精神疾患、身体疾患、薬剤の影響などでも起こることが知られています。

日本人の4人に1人が、 一生のうちで一度は抑うつ状態(うつ病エピソード)を経験するといわれています。

うつ病とは

健康な人に起こる抑うつ状態は自然に改善することもあります。しかし、抑うつの程度が強く、期間が長く続くなどの診断基準を満たす場合はうつ病と診断されます。うつ病では精神面、身体面にさまざまな症状があらわれます。うつ病に関する認識が広まり、その頻度の多さから『心の風邪』と呼ばれることもあります。しかし、からだの風邪とは違い、うつ病になった環境の中で生活を続けていると、自然に改善するのは非常に難しいという特徴があります。 また、からだの風邪は放置しても重症化することは稀ですが、うつ病の場合には時間の経過とともに重症化することがあります。このような理由から、抑うつ状態が持続する場合には、できるだけ早く治療を開始したほうがよいと考えられています。一人で悩まずに周囲の方に相談し、専門家のもとを訪れるなどの対策をとり、早期の回復を目指しましょう。

うつ病・抑うつ状態になりやすい人は、どんな人?

現在の社会では、誰もが多くのストレスにさらされていますので、誰もが”うつ”と無関係とはいえません。しかし、その中でも特に次のような素因をもつ人がストレスにさらされたうえ、昇進、転勤、出産などで違う環境に置かれるとうつ病になりやすいといわれています。

  • まじめで仕事熱心
  • 完全主義で几帳面
  • 仕事や家事を人任せにできない
  • 人にどう見られているか非常に気になる

また、女性では生理周期とともにホルモンの変化が起こります。このようなホルモンバランスの変化は精神状態にも大きな影響を与え、抑うつ状態をまねくきっかけになると考えられています。一般に女性は男性の約2倍、うつ病にかかりやすいといわれています。

うつ病・抑うつ状態ではこんな症状があらわれやすい

うつ病を早期に発見し、治療を受けるために、どのような症状があらわれるのか知っておく必要があります。うつ病の症状は、精神面だけではなく、身体面にもあらわれます。

精神症状

  • 物事をやるのがおっくうで早くできない。
  • 集中力が落ち、仕事を能率よくできない。
  • 人に会いたくない、人と一緒にいたくない。
  • 寝てもさめても同じこと(心配ごとや悲観的なこと)を考えてしまう。

身体症状

  • 不眠・過眠、頭重感、頭痛、めまい
  • 食欲不振、胃部不快感、便秘、口渇
  • 肩こり、背中や腰などからだの痛み
  • 息苦しさ、動悸
  • 手足のしびれ感、嫌な汗や寝汗
  • 排尿困難、性欲低下、女性では月経不順 など

うつ病・抑うつ状態の治療には、1に休養、2に薬物療法、3に精神療法(心理療法、カウンセリング)という組み合わせで行なわれます。多くの場合、仕事などのストレスの原因から遠ざかり、心身ともにゆっくりと休養することを指示したうえで、抗うつ薬などを使用します。そして、薬の効果が表れたのちに、再発を予防するための心理教育や認知行動療法などを行います。

面だけではなく、身体面にもあらわれます。

休養

うつ病の患者さんは「自分がしっかりやらなければならない。周囲に迷惑をかけられない」という気持ちの強い人が多く、仕事や学校などを休むことに難色を示しがちです。しかし、「思い切って休みを取る」など負担を減らし、心身の休養を取った方が、早い回復につながることも多いようです。

薬物療法

うつ病の薬、抗うつ薬は最近では効果が高く安心して服用できるものが使われています。薬の副作用が疑われる症状(口乾、便秘、排尿障害、尿閉)が現れたら、自分で中断せずすぐ医師に相談しましょう。また、症状がよくなったからといって勝手に服用を中止すると症状の悪化をまねくこともありますので自己判断は禁物です。

精神療法・心理療法・心理カウンセリング

薬物療法に加えて、共感・受容を中心とした支持的な精神療法、疾患教育や、治療の枠組みを設定した上で患者さんの考え方のクセを修正し、行動の変容を目標とする認知行動療法などが用いられます。当院では職場を休職した方に対して、再発予防を目的とした復職支援(リワーク)プログラムを行っています。また心理カウンセリングを通じて、問題を抱えている自分や、取り巻く人間関係について理解を深めながら、自らが問題解決に取り組むことも有効な手段です。

適応障害とは

大きなストレスや、継続的・反復的にかかり続けるストレスなど、さまざまなストレス因子により、日常生活や社会生活、職業・学業的機能において著しい障害がおき、社会生活ができなくなる状態をさします。

不安、抑うつ、焦燥、過敏、混乱、精神運動抑制などの精神面での症状のほか、不眠、食欲不振、全身倦怠感、易疲労感、胃炎、頭痛、吐き気、発熱などの身体的症状があらわれることがあります。

抑うつ状態を呈するなど、初期のうつ病と区別がつきにくく、放置しているとうつ病に進展することもあります。ただし、うつ病とは異なり、ストレス因子が消滅すれば、症状が軽快することが期待できる状態です。

休養、薬物療法、心理療法などの治療はうつ病に準じて行われますが、原因として環境と個人との不適応があるために起こります。休職や職場・職務内容の変更といった環境調整に加え、状況にうまく順応する力とコミュニケーション力を向上させ、長期的にはストレスに強くなることがより重要となります。実際には、これらをひとりで行うのは困難な場合が多いため、当院ではリワークプログラム心理カウンセリングなどを行っています。

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